作品のテーマは、「超高齢化社会とひきこもり(8050問題)」です。
近年、主に「80代」の高齢の親が「50代」のひきこもりが長期化した子を支えている家庭が増加しています。「8050問題」とは、こうした家庭が地域社会との接点を失い、親子ともども生活が困窮するなどの課題を抱え、将来への展望が見いだせない超高齢化社会における新たな社会問題のことです。
背景には、家族や本人の病気、親の介護、離職(リストラ)、経済的困窮、人間関係など、複合的な課題を抱えながらも、親子共倒れの問題が発生するまでSOSの声を上げることができない、現在の超高齢化社会における「家族の孤立」が地域に潜在化していることがあります。
この作品は、二つの家族の視点で進行します。主人公の岸本麻帆はあることをきっかけに「ひきこもり」は誰にでも起こり得ることだと気づきます。一方、20年以上ひきこもり状態にある谷口誠一とその両親は問題が長期化する中で、解決の糸口すら見いだせないまま苦悩しています。麻帆は谷口家の抱える問題に寄り添い、解決策を求め行動を起こします。
急速に高齢化が進む今、8050問題は誰にでも起こりうることと認識し、地域の人々がひきこもりなどの悩みを共有し偏見をなくすとともに、互いに助け合うことで地域共生社会の実現をめざす人権啓発ドラマです。
本作は、岸本家と谷口家のふたつの家族の視点で進行する。
谷口誠一は、自宅に20年以上ひきこもっている。両親と同居しているが、できるだけ顔を合わせないよう窮屈に暮らしている。岸本麻帆は、娘が高校生になったことを機に、近所の喫茶店「カンパニュラ」でパートとして働き始める。近所づきあいのなかで「(谷口家の)息子さん、ずっと働いてないみたいなの。気をつけて」と言われる。
ある日、岸本麻帆は、裏手にある谷口家から「出ていけ!」という怒鳴り声や大きな物音を耳にする。翌日、麻帆は谷口洋子に思いきって話しかけ、洋子の相談にのる。誠一がひきこもっていること、どうすればいいか分からず、不安を抱えていること等を聞き、なにか自分にできることはないかと、考え始める。
インターネットでひきこもり支援センターのことを調べた麻帆は、洋子に紹介。支援センターで洋子は相談にのってもらう。また、麻帆はケガした娘が自宅にこもりがちになったことをきっかけに、「ひきこもり」は誰にでも起こり得ることだと気づく。そこで喫茶店マスター引田啓介と共に、ひきこもりの方を集めて交流する「ひきこもりオフ会」を企画する。
誠一は、洋子から支援センターや喫茶店イベントの話を聞くが、それでも動こうとしない。
オフ会は何度か開催されて参加人数も増えてきた。引田のブロクで「がんばらなくてもいい。楽しく過ごすだけでいい」という言葉を見た誠一は、一度参加してみることにする・・・・
岸本 麻帆 役
本作の主人公。喫茶店でパートとして働き始める。あることをきっかけに谷口家の抱える問題に寄り添い、行動をおこす。
谷口 誠一 役
もうひとりの主人公。20代の頃は営業職として働いていたが、会社倒産と再就職の失敗で20年以上自宅にひきこもっている。
岸本 絢香 役
麻帆の娘。バスケ部の活発な高校一年生。ケガをきっかけに自宅にこもりがちになる。
谷口 洋子 役
誠一の母。息子のひきこもりが長期化することで不安を抱えている。
引田 啓介 役
喫茶店「カンパニュラ」店主。お店を地域の憩いの場にするべく、切り盛りしている。
谷口 徹 役
誠一の父。夫婦で写真店を営んでいたが今は年金暮らし。ひきこもりの息子にいら立っている。
1990年大阪府生まれ。京都大学出身。
2018年、映画「神さまの轍」で劇場映画監督デビュー。
映画「いのちスケッチ」「光を追いかけて」の脚本のほか、2020年10月には脚本作「鬼ガール!!」が劇場公開された。
宮地真緒 六角精児 山田ルイ53世
福井裕子 白石優愛 峰秀一 高木直子
竹邑貴司 結城さなえ 田所ちさ 大谷由梨佳 吉居亜希子
監督・脚本:作道 雄
撮影・編集:橋ヶ谷典生 照明:山口峰寛
録音・整音:茂木祐介 助監督:石井将
メイク:菅原美和子 スタイリスト:岡村春輝
制作担当:三村薫
音楽:ミヤベヤスシ 杉野弘樹
スチール:池田岳史 MA:辰巳拓也
プロデューサー:斉藤啓
ラインプロデューサー:長尾淳史
制作:神広企画株式会社
制作協力:株式会社クリエイティブスタジオゲツクロ
企画:兵庫県 公益財団法人兵庫県人権啓発協会
企画協力:兵庫県教育委員会
本作品「カンパニュラの夢」は教育・研修用ビデオとして制作しております。
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